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今回はくれはから話を聞いた読子が是非会いたいと頼み込んだ結果というセッティングになっている。真島は頼子を見て「この女も男慣れしていなくてチョロそうだ」と心の中で舌なめずりをしていた。
だが読子にはそんな彼の心の中など百も承知である。
読子は手はず通り、くれはを店内に待たせて真島のみを奥の座敷に上げた。
「ちょっとくれはには席を外してもらったわ。アナタと二人っきりで話したいことがあって」
「なんでしょうか」
まさかこのまま盛りだして俺を押し倒すんじゃ無いだろうな? と、真島は期待に股間を膨らませた。
「話に聞いていたとおり良い声をしているけれど、声のお仕事には興味ないのかしら? くれは達との同人じゃなくて、プロとしては」
「僕くらいの実力ならいくらでもいますよ。養成所に入りなおそうにもお金も無いし、お仕事なんて無理ですって」
真島の言うように彼程度の声を持つ声優志望者は多い。実際、真島も過去を辿れば養成所の元生徒である。
だが彼は今やっている詐欺まがいのスケコマシを始めてから声の道を諦めていた。むしろ学んだことを悪事に使って私腹を肥やしているとも言える。
「そうですか。でも、もしもですよ……チャンスさえあれば一躍スター声優になれるって思ってたりしていないかなと」
「それは……」
読子のいう妄言は事実である。
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