第1章

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引けば、頭からカップの中身を被り、キャラメル付きの生クリームやらラテやらにデコレートされた祥子が最近メディアで人気のオネエ系ヘアメイク・イチマツに呑気な笑顔を向ける。 「いやぁ、もうっ!何?!どうしたらいいのぉぉぉぉぉ」 一方、総レースの純白ハンカチでお地蔵様でも拭くように、ゴシゴシと祥子の水気や脂気を必死でぬぐうイチマツ。 「あの、もう大丈夫ですから」 自分の状況も把握出来ないまま適当な愛想笑いを浮かべる祥子の腕を、グイッと男らしく掴むと、イチマツは「ちょっといらっしゃい!」まばらながら集まった人垣をモーゼのごとく開き、改札へと向かった。
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