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豆腐は手の上で切るべし! なんてことは言いません。前に失敗して豆腐が赤く色づいてってすみません。面倒なので手で握りつぶしましょう。大きさバラバラでけっこう好きです。カニかまは入れないでください。あれは何もない時に入れるものです。なにもない時にカニかまだけあればですが。
かるくおたまでかき混ぜて、お椀に盛ります。ご飯を用意しましょう。さっきのちりめんじゃことかつお節の味付けをして、ご飯にかけます。これもドバっとの方がいいです。
さあまず味噌汁を一口すすり、次に口の中に味噌汁残したままでご飯をかっこみましょう。
至福。
夏休みに入る前の日。今まであれだけ声がかかっていた部や委員会からまったく音沙汰がなくなった。当然っちゃあ当然だが。
逃げるように教室を後にして板垣の横をすり抜けて教員室の前を脱兎のごとく駆け抜けてガッツポーズをかましていたら、かさバアにものの見事に捕まった。
「笹井さん、ご苦労さまですねえ。ちょっといいかしら?」
いや良くないです。帰りたいんですが。
「なにかありましたか、先生」
「こないだの試験ね、笹井さん。私教師になってもう三十年以上だけど、初めてだったわよ、答案用紙見て添削して大笑いしたの」
「とりあえず紙面は埋めました」
「裏面ですけどね」
肩をぽんぽんとしながらかバアは去り際に、
「今度は、美味しいカレーの作り方なんて良いわねえ」
二学期の数学の成績は、五段階評価の、三だった。
学期末恒例の補習はなかった。少し残念に思った。
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