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思考を巡らせ、項垂れたまま座り込んでいると、砂利を踏みしめる微かな音が聞こえた。
ゼノが咄嗟に目を向けると、川縁に沿った茂みの向こうから、マリアンルージュがひょっこりと顔を覗かせた。
「おはよう、ゼノ。良く眠れた?」
屈託のない笑顔でそう言って、彼女は小走りにゼノの元へ駆けてきた。
川で水浴びでもしたのだろうか。
薄手の白い襯衣を一枚身に付けただけの彼女の髪はしっとりと濡れており、白い肌を幾筋もの水滴がつたっていた。張り付いた布が薄っすらと肌を透かしているのが妙に艶かしい。
「なっ……、なんて格好してるんですか!」
思いがけず大声をあげると、マリアンルージュを制止し、ゼノは慌てて目を背けた。
まずは謝罪と感謝の意を伝えるつもりだったが、それどころではない。
ゼノ自身、性的感情に関しては疎いほうだと思っているが、あられもない姿のマリアンルージュを前に平然としていられるほど達観しているわけでもない。
近付くなと言わんばかりにゼノに両手を突き出され、マリアンルージュがぴたりと足を止める。小首を傾げ、そのまま自身の姿を確認した彼女は、たちまち頬を紅く染め上げた。慌てふためいてゼノに背を向け、脇に抱えていたローブを頭からすっぽりと被る。
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