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第2話 肉親
【7月1日 部活終わり:塚原 祐介】
夏が始まる。
あの日、俺はクタクタになりながら高校の部活の練習から帰宅した。
「……ただいまー」
ゆっくりと俺は玄関のドアを開ける。
「あ、おかえりなさい! お兄ちゃん!」
俺……『塚原 祐介』の疲れ切った声に、妹である中学2年生の『塚原 杏奈』は元気良く反応し、リビングからひょっこりと顔を出してくる。
「今日も遅かったね……サッカー部の練習、そんな長いの?」
「ああ……まぁな。でも大会前だから仕方ねぇよ。それより俺、先に風呂入るけど良いか?」
「うん! 丁度お風呂湧いたみたい! お風呂上がる頃にはご飯も作っておくからね!」
「おう。いつもありがとな、杏奈」
「もう、今更なによー」
そして、妹の杏奈は駆け足でリビングにあるキッチンへと戻っていった。
俺は玄関で靴を脱ぎ、重い足を引きずるようにして風呂の脱衣所へ向かう。連日の過酷な練習で全身ひどい筋肉痛だ。
俺は現在、県内でも名門と呼ばれる高校のサッカー部に所属している。ほぼ毎日ある過酷な練習に必死についていくので精一杯な毎日だ。
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