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峰岸は病院内にも構わず大きな声でそう叫び、頭を深々と下げた。廊下を通る患者や医者たちが一斉にこちらを振り向く。非常に視線が痛い。
「お願いします! 西崎先輩に会ってあげてください!」
「分かった! 分かったから、頭上げて!」
俺は強引に峰岸の頭を持ち上げる。周囲に変な誤解をされそうだ。
「……ありがとう、ございます」
すると、峰岸はにっこりと俺に微笑んだ。よく見ると瞳が少し潤んでいる、そこまでして俺を西崎に会わせたかったのか……女の子がここまでする姿を見て今さら俺がビビってるなんて、馬鹿みたいだ。
「会うよ、西崎に」
覚悟を決め、俺は西崎の病室へと足を踏み入れた。
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