第17話 友達

2/5
前へ
/296ページ
次へ
 ……こんな子が見舞いに来てくれるなんて、お前は幸せ者だ、西崎。だからさっさと目を覚ましてこの子にお礼くらい言ってやれよ。俺は心の中で西崎にそう伝えた。 「それに……右足の親指の話、塚原先輩も聞いてますよね、もう」  峯岸は声を潜め、小さな声で俺に耳打ちをする。  考えてみればこの子も西校のサッカー部の人間だ、もうその話は耳に入っているだろう。 「ああ……」 「うちのサッカー部でも凄い騒ぎになってます、浮気した女にやられただの、天誅だの呪いだの……みんな、好き勝手な事ばっかり言って騒いでます」  峯岸は露骨に不快そうな表情を浮かべ、大きく息を吐く。  まだ公にはされていない情報だが、これが明らかになれば多くの人間がこの事件に食い付くだろう。  優姫の事件のときもそうだった……マスコミは夏の神隠しだの面白おかしく騒ぎ立てるだけで、連中は誰一人として優姫を心配などしていなかった。 「あのさ……」 「はい?」 「西崎の見舞いに来た奴って、俺と君以外……」
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!

379人が本棚に入れています
本棚に追加