本の王様

　文庫本が好きだ。

いつもそばにいてくれる感じが好きだ。
単行本も読むけど、重いので持ち歩けないから文庫本で買う。

　本屋さんが好きだ。

　紙とインクの匂いがする気がする。
知識なく訪れてぶらぶらと歩きながら、知らなかった写真集なんかを目にしたら、ちょっと幸せな気分になる。
　文庫本のコーナーでは、題名を見ているだけでわくわくしてくる。

　でも、本屋さんに長くいられない。

　なぜだろう、昔から本屋さんにいるとトイレに行きたくなる。いつもちょっと後ろ髪を引かれる思いで、本を置いてトイレに向かった。

　座って本が立ち読み（？）できる大きな書店が、近くにできたことは知っている。でもまだ行けていない。
　座りたくなるにちがいないから、そしてすぐにトイレに行きたくなって、後ろ髪抜けるほど引かれるにちがいないから。

　どうしてトイレ行きたくなるのかなあ、子供の頃からだった。
　図書館や図書室では平気なのになあ。

　小学校の頃から、図書室が好きだった。逃げ場だから。