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暴力はなかったけれど、無視というイジメ。それが流行りだした頃だった。そのターゲットに選ばれてしまった私は、20分休憩や給食のあとの長い休憩時間は図書室にいた。
それほど大きな部屋ではなかったけど、楽しい本はたくさんあった。図鑑もおもしろかった。
小学校の図書室には文庫本がなかったなあ。
中学の頃、小さな文庫本を初めて手にしたときは、少し大人になれた気がしていたんだ。バスの中とか、公園とかで文庫本を読んでいる人はちょっとカッコよく見えてたから。
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彼も本が好きだった。
いろんな本をたくさん読んでいるわけではなくて、気に入った同じ本を何度も繰り返して読むタイプの人。
ジーパンの後ろポケットに、時々、薄い文庫本が入っていた。そんな姿はとても好きで、本がちょっと羨ましかった。
「ズット、ツイテイケルネ」って。
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バスに乗る前に本屋さんに行く。
真っ直ぐに文庫本コーナーに。
新刊が並んでいる。でも、そこには行かずに奥に。
みんながいいというベストセラーじゃなくて、誰にも知られないみたいにひっそりといる文庫本と運命的に出逢いたいと思ってしまう。
フラフラ歩いていると、本が私を呼んでくれる。
『ここにいるよ。』
今日も呼ばれた気がする。しかも一番奥から。
だめだよ、トイレ遠い。でも、呼んでる。
いつもどおりふらふらと。
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