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「へぇ~。なら俺と今夜どう?退屈はさせないよ」
俺の目論見通り少年は自分を俺に勧めてくると、俺の答えを聞かないまま手を引き街灯の光が当らない場所へ俺を誘導する。
そして俺の首に手をかけると、自分の方へと引き寄せ唇を合わせた。
一瞬身じろいでしまったが、相手にばれないように平静を装うと誘われるまま唇を開く。
すぐに相手が舌を侵入し貪るような激しい口付けへと発展する。
一生懸命背伸びをし、俺の口内を貪る少年。
とりあえず少年に主導権を渡していた俺は、それを奪い返そうと少し本気でキスを返した。
まるで相手の息を根こそぎ奪うかのようなキスになってしまったが……。
「ぐっ……ンっ」
少年は俺の舌技に翻弄され、俺の首に回っていた腕は次第に俺の服へ縋り付くように変化していった。
その状況を見るに少年は既に限界らしいが、俺は俄然余裕がある。
下半身もまだ下を向いたままである。
これが蛍相手だったら今ごろ自身は昂ぶり、開放を待ち侘びているはずだろう。
その理由が蛍の口付けが上手いからなのか、それとも好きな相手とのキスだからなのかは分からない。
恐らく後者なのであろうけど。
蛍と別れてから女とはそれなりに関係を持ってきたが、男と関係を持つことは無かった。
なので蛍以外の男と口付けを交わしたのは初めてだが、コイツも蛍も女顔負けの唇の柔らかさだ。
変にグロスを塗りたぐっていない所為か、唇本来の感触が直に楽しめる。
快感に震えている目にも睫毛がびっしり生えているし、肌の毛穴も見当たらない。
化粧をしないでこの有様なのだから、化粧をして見栄えよくしている女性からしたら困った物だろう。
彼だってきっと結構な上物であろうが、何分比べる相手が悪い。
ようやくキスを終え唇を離すと、空ろな目をして俺を見上げてくる少年が腕の中で震えていた。
「んっぁ……お兄さんキス上手すぎ……」
「そうか?退屈させないんだろ?これじゃぁ俺退屈しちゃうよ?」
少年はその言葉を聞くと焦ったように俺の目の前に跪き、反応していない分身を取り出し舌を這わせる。
「ねぇ。お兄さん名前教えてっ、ンっ、ぁ」
裏筋に舌を這わし先端を口に入れ、含めない部分は手で愛撫しながら少年は訪ねてくる。
少年は限界まで口をあけ、俺を頬張り必死だ。
何だかその様が酷く滑稽で。
かつ、少し愛しく見えてしまった俺は当初答える気の無かった質問に答えてやる事にした。
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