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「はぁはぁはぁ……。臣アンタ……上手すぎ。てか、男抱くの慣れてるね」
情事後開口一番に眞人が呟いたセリフだった。
「そう?普通じゃない?」
今俺たちが居るのは路地裏の近くに隣接された安いラブホテルだった。
あの後俺は眞人を引き連れここに入り、今まで情事に耽っていたわけである。
俺は自分にかぶせてあったゴムを外し、ゴミ箱に放り投げる。
先端に溜まった俺の嘘の愛が酷く滑稽だった。
基本俺は避妊を忘れない。
だが蛍との情交の場合のみ避妊しない……というかさせてくれない。
蛍が。
俺は気にするのだが二回目に肌を合わせようとした時に封を開け装着していたら、臨戦態勢のものを足蹴にされたのだ。
その痛みも強烈だった事と蛍が泣きそうに怒るので、その時はそのまま生でした。
別に蛍を疑って避妊をしたかったわけではない。彼の為を考えての行為が彼を酷く傷つけたと思ったのはその後からだった。
暫く蛍から誘われない日が続いたと思ったら、ある日奴はご丁寧に診断書を叩き付けて登校してきたのだった。
「俺、病気持ってないから」
そこで本当のことを言ってもよかったが、多分蛍は信じなかっただろう。
奴はそういうやつなのだ。
だから俺はそれから蛍と行為をする時には必ず避妊せずに抱いていた。
正直眞人から絶賛を受けた俺のセックスだが、これまで関係を持った女からは上手かっただの、下手だっただの言われたことが無いので正直喜んでいいのか分からない。
まあ下手と言われるよりは良いのかもしれないけど。
足元に落ちていた下着を履き、備え付けの冷蔵庫を開いてミネラルウォーターを取り出す。
キンキンに冷えたミネラルウォーターを口にすると、体の隅々まで水が浸透していく感じがした。
どうやら自分が思うよりも情事で水分を奪われていたらしい。
「俺だって一応コレで食ってるんだよ?一日に二、三人渡り歩く事もあるのに……とてもじゃないけど今日は他の客に抱かれるなんて無理だよ」
ベッドの上で仰向けになりながら俺に話し掛けてくる眞人は今だに裸のままだ。
どうやら動くのも億劫らしい。
「体力を奪われすぎて?」
眞人に向かって飲み掛けの水を差し出す。
俺から水を受け取ると自分の喉を潤し始めた。
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