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「違うよ。良すぎて。もう今日は他の男に抱かれる気持ちにならないね。まぁ体力を根こそぎ取られたってのもあるけど……」
「そりゃ光栄だ」
「はぁ。むしろ今後の業務に支障をきたすよ。……って事で臣、責任取ってよね?」
俺の腕を引き、自分の方に倒れこませながら尋ねてくる。
ここで言う責任とはどういう意味だろうか?
定期的に眞人を指名すること?
眞人を恋人にすること?
どちらにしたって俺には無理なのだけれども。
「それは出来かねない。今日だけならいくらでも責任をとってやるがそう言うのは他をあたれ」
正直見た目も、体も申し分ない眞人に提案された内容はとても魅力的な内容だ。
でも自分の気持ちに気づいてしまった今、俺には蛍しか要らないのだ。
「なっ!……俺さぁ、自分で言うのもなんだけど結構この界隈じゃ有名だよ?今日はたまたま客取って無かったから自分で売りに行ってたケド……俺の専属になれるなんて結構名誉なことなのにさ~」
「それでも無理なもんは無理だ」
俺の頭を抱き、ぎゅぅと力をこめ、ちぇっと口を尖らせる。
そういう動作がとても子供っぽく庇護欲を誘われるが、ここで誘われては恐らく眞人の思う壺だろう。
「そりゃさぁ、俺もケイさんには叶わないけどさ……。でも!でも!ケイさんが最近あんまり出てこないから、俺も今やトップ候補なのに~」
まぁが呟いたその何気ない愚痴が、俺の中でバラバラになっていた事実を1つの線で結んでいく。
「……そのケイって?」
「え~?臣知らないの?ケイって言ったらこの界隈で有名な売り子だよ。上は大物政治家やら企業の社長様、下は高校生とかその日の気分で相手をころころ変えるの。相手がどんな大物でも気分が乗らなかったら捨てちゃうし、気分が乗ればタダでもやらせてくれるって言うある意味伝説をもつ売り子かな?」
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