182人が本棚に入れています
本棚に追加
「そりゃまぁ凄いのが居るもんだな」
「まぁね。こんな商売って思うかもしれないけど、俺たちにもちっぽけなプライドはあるんだよ。かく言う俺もケイさんのことは尊敬してるし、あっちも俺を可愛がってくれてるから大好きだよ。あの人の凄いところは貢物で車貰っちゃったり土地貰っちゃったりするところかな?」
一つまた一つと事実が連なり、やがて一つの解に辿り着く。
その解はやがて一人の人間へ俺を導く。
「……そのケイって人、ホテルとかも貰ってたりする?」
「あー、うんうん!貰ってたりするする!何年契約したやつ貰ったんだがパシフィックホテルを貰ってるはずだよ。ケイさんはくれた人すら忘れてそうだけど」
一人の人間……そう、俺の親友である蛍へと。
「ケイね……。それが蛍の通り名か……。ホタルにケイねぇ……捻ってねえなぁ」
「はっ??ってか臣なんでケイさんの本名知って……」
眞人はがばっと俺をひきはがし、酷くビックリした様子で俺を見る。
その様子から察するに蛍の本名を知っている物はそう多くないのだろう。
「おれそのケイ……蛍の、友人?」
「えー?まじ?……あー。うん、だから臣男抱くの慣れてるし上手すぎるのにも合点がいくよ。なるほど臣はケイさん仕込みか~」
眞人は一人で納得したようにウンウンと首を頷いている。
普通は友人と言っただけで抱くとか抱かれるとか仕込まれたとかそういう思考回路にならないと思うが。
他人にそのような思考回路を持たせる蛍が心配である。
それ以上の蛍の情報が欲しい俺は、更に眞人に口を割らせる為再度ベッドに押し倒し組み敷くと、強引に唇を合わせる。
「ちょっとっ、臣ってば……」
「まぁにお願いがあるんだ」
「んっぁ!んッ……なに?」
一旦口を離し、眞人が息を吸えるようにする。
「蛍の仕事用の連絡先教えて」
自分に気のある人間に体を使って情報を得るなど、少し前の俺には出来なかった所業だ。
俺にそんな行動を起こさせるのは蛍だ。
今の俺なら蛍にもう一度会って気持ちを伝えるためなら、どんなことでも躊躇わずに実行するだろう。
眞人の目を見つめ、命令するように否懇願するように訴える。
数秒間二人で見詰め合ってると、途端に眞人が腹を抱えて笑い出した。
最初のコメントを投稿しよう!