182人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハハッ!あーおかしぃ、臣ったらそんな真剣な表情でさ~。よっぽどケイさんの事大切なんだね」
「あぁ」
今なら他人にだって胸を張っていえる。蛍への気持ち。
隠すことも恥じることもない俺の純粋な気持ちの表れ。
「あ~あ、惜しいな。俺、臣の事結構本気だったのに。人生初失恋なんですけど……」
「…………悪い」
裸のままベッドを降り、眞人は自分のカバンを漁り始める。
その様子を半身を起こしながら俺はベッドの上から眺めていた。
「臣が好き、笑っちゃうよねさっき会ったばっかりなのに。俺って安い男、体で陥落されてやんの……」
「まぁ…………」
「どうして自分で好きな男の恋愛応援しなきゃなの?俺のことはフった癖に……」
「…………」
眞人の言っていることはその通りの為、俺には何も反論することは出来ない。
もしも眞人が教えてくれないとしたら、俺はまた蛍に通じる人間を探す所から始めないといけないのだ。
その間に蛍が何人の男と関係を持つのだろう。
そう考えるだけで腸が煮えくり返るような思いだ。
自分の事は棚に上げて……。
「でもさ~、自分が幸せなのも大切だけど自分の大切な人や、大好きな人が幸せになるってのは自分が幸せになるくらい良いことだよね」
「…………まぁは優しいな。俺には無理だな」
蛍の事は大事で大切だ。
だが俺以外の誰かとそれを成していると思うだけで、どんどん暗い感情が俺を占める。
最初のコメントを投稿しよう!