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「まぁ……ね。随分眞人と親しいじゃん。何、基臣眞人を買ったの?抱いたの?……それで俺を騙して嵌めて満足かよっ!」
「蛍……」
「基臣、お前さぁ~。俺を嵌めるなんて良いご身分じゃん。しかも眞人を使ってとか。昔の基臣からは想像もつかないよ。どう?俺を嵌めて騙して楽しかった?」
蛍は唯一自由になっている脚を使い俺を蹴りつけながら大声で怒鳴る。
「騙して楽しいはずが無い、嵌めて楽しいわけが無い。でもそうまでしないとお前はまた俺から逃げるだろう?逃げたいなら逃げてくれて構わない。理由を教えてくれ」
「ハッ、逃げてる?俺が?何から?基臣から?何?それを確認したくて俺を騙したわけ?答えろよ基臣ッ!」
「……あの時の喪失感が蛍に分かるか?俺は辛くて悲しくて自分で自分の記憶に鍵をかけたくらいだ。もう理由も言われずに、お前を失うのはごめんだと思ったんだよ。あんな思いするくらいなら多少汚い手使ってでもお前を捕まえるさ」
親友だと思っていた。いや、言葉にしなかったがそれ以上の存在だと。
そんな俺に何も言わずに姿を消し、俺を裏切った蛍の行動を許せるわけではないが、何かしらの理由があったのだと思いたい。
そんな思いを胸に抱き、腕の力を緩め腕の中に居る愛しいぬくもりを優しく抱きしめる。
「はっ…?なにそれ……どーゆー意味で……」
蛍は頭が混乱しているのか、俺の目を見つめおろおろしている。
腕の拘束が解かれたというのに逃げることを忘れているようだった。
「蛍、一度しか言わないからよく聞け。俺はお前の事が――――――」
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