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「ス、ストーップ!!!!!!!!!!!」
俺の蛍への一世一代の告白は、その場にいた第三者……眞人によって阻止させられた。
眞人は俺の顔をちらりと伺い、案の定俺の機嫌が悪くなっているのを悟るとさっと顔をそらす。
そりゃ誰だって一世一代の告白の途中に止められたんじゃ腹も立つって物だろう。
しかも当事者に止められるならまだしも第三者にだ。
「……眞人、これがお前の気持ちに答えなかった俺への報復か?いくら俺でも怒る時は怒るんだぞ」
「いや臣、違うんだよ……ほら、なんというか……」
眞人は言い辛そうに身振り手振りで何かを伝えようとしている。
伝えようとしているが、少し頭に血が上っている今の俺でははっきり言ってくれないとわからない。
俺の腕の中にいた蛍も、眞人の必死さが伝わったのか眞人へ向き直っている。
「眞人。いくら俺でもちゃんと言ってくれなきゃわからないよ……」
「ケイさ~ん、ほら、あれですよ……」
恐らく今の俺と蛍は頭の上に?マークが出ている状態に違いない。
そして眞人はゴクリと唾を飲み込むと、覚悟を決めたように口を開いた。
「ほら……ここ、待ち合わせ場所じゃん?なんつーか人が沢山居るんですよ。……って言うか、ここらにいる人間みんな二人に注目してるから……そのですねぇ」
言われてハッと周りを見渡すと、右に居た高校生のカップルも左にいた親子連れや後ろで待ち合わせていた女友達たちも俺たちを見ている事に気づいた。
考えただけで卒倒しそうだ。
こんな大人数が見守る中で俺は蛍へ思いを告げようとしていたのかと。
傍から見れば男が三人で喚いているこの状態は、どう見ても同性愛者の痴話喧嘩と思われそうだ。
「……あ~、うん。眞人ありがとう。……本当にありがとう」
人の噂とは恐ろしい物で、こんな大通りでそんな事になれば学校やはたまた教育委員会へ知れ渡るのも時間の問題であろう。
恋愛は自由だと言っておきながらこの国は未だ同性愛者への風当たりは冷たい。
せっかく教師になったと言うのに職を失う可能性だってあるところだった。
「いや、別にいいんだ。臣とケイさんが上手くいってくれたら俺も嬉しいし。とりあえず俺、家戻るから。何かあったらまた連絡して。それじゃぁ臣、ケイさんもまたね」
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