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自分だけ高みへ駆け上がらされるのが嫌で、俺は蛍の細腰に回していた両手をそれぞれ胸と下肢へ伸ばす。
泡のお陰か、蛍の先走りのお陰かニュルニュルと滑らかに蛍の体を弄りまわる事が出来る。
その感触が良いのか蛍が時折漏らす声が堪らなく情欲を誘い、俺を一匹の獣へと変貌させる。
「やっ、基臣ッ」
「嘘言ってんな。昔からここ好きだろ」
そう言って真っ赤に染まった蛍の亀頭を重点的に攻める。
女を抱くよりも男に抱かれることに慣れている蛍の体は、陰茎への直接的な刺激に慣れないのか昔からここを攻めると好い声で啼く。
それはもう気を抜けばそれだけで果ててしまいそうなくらいに。
「ぁぁっ、んっ、だめ、も、臣、いぃ、んぁっ」
「約束しろ蛍。お前は俺の物で、俺はお前の物だ。俺の持ち物である蛍の体を俺の知らないところで触らせてみろ、俺自身でもどうなるか想像がつかない。最悪殺すかもしれないぞ。一生お前は俺の腕の中だけで乱れるんだよ。分かったか?」
「ん、ん、ぁッ、わか、った。わかたから……お願いッ、基臣ぃ」
俺自身でさえ認識していなかった黒く深い蛍への感情。
蛍の言う事を聞いてそれに従って何でも願いを叶えてやりたい自分と、蛍を閉じ込め俺だけしか見せなくして蛍の世界を俺だけにしたい自分がいる。
前者は蛍個人の意思を尊重し蛍に人間としての尊厳を与えてやれるが、後者では無理だ。
後者はただこの部屋で俺のことを待ち、俺に愛されるためだけに囲われる人形だ。
蛍に尊厳は与えられないが俺の支配欲は満たされる。
もうこれ以上いらぬ心配をする必要もない。
蛍の世界には俺だけなのだから……。
そうは思っても俺が惚れた蛍は天真爛漫で傍若無人な蛍だ。
まだ俺が俺で居られるうちはその蛍を尊重したい。
俺が俺で居られなくなったその時……ただの狂人に成り果てるまでは。
「本当に分かってんのか?仕事も辞めるんだぞ、っ、あの部屋出てここで暮らすんだぞ!」
「ぁぁん、うん、ッ、ん。分かってる、分かってるからッ、基臣」
「ッ!」
立ったまま挿入しているのが辛くなってきたのか、涙や涎で穢れた顔を俺に向け先をねだる蛍。
言質を取ったがこの状態では、はたして今が正気なのか怪しいところだ。
絶頂の許しを請うために、分かったといっているとも考えられる。
それでもそんな蛍に煽られ続けた俺も既に限界は来ていた。
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