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「お前さ、たまにそうなるんだよ。記憶の錯乱?そのノート見てみろよ。お前のノートだぞ?」
なに、言ってるのよ。
タクミの言葉に震える手を伸ばしノートの表紙を見てみると、そこには私の名前が書かれていた。
「や……っ、待って、意味が分からな……っ」
がくがくと震える私をタクミが抱きしめた。
「大丈夫だよ、シオン。やっと、ふたりきりになれたんだから……邪魔者はもういない。これでお前と幸せになれるんだから」
その瞬間、私の記憶がフラッシュバックする。
誰かの助言、ナイフを握る手、吹き出る血。
ああ、そうだ。
思い出した、全部全部思い出した。
震えが止まらない。
違う、違うんだ。
私はただミクとふたりで笑いあっていればそれで良かったんだ。
それなのに、それなのに……。
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