彼をシャッセ

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* 「マドカ、そんなに急がなくても」 閉会式が終わって、色々な人たちが取材に詰め寄ってくるも謝りながらそれを断り、飛ぶようにして宿泊先のホテルへ帰ってきた。 大急ぎでスーツケースに荷物をまとめる。 そんな私の姿をみて、呆れたようにスンヒュンさんは言った。 「チェックアウトは明日の昼のはずだろう? 今日はゆっくり休みなよ」 私の肩に手を乗せたレオンさん。 「あと2時間なんです!」 荷物を詰め込みながら叫ぶようにしてそう言う。 は?と三人の声が揃う。 私は詰め終わったスーツケースを「よし!」と呟きながら叩いて立ち上がった。 「今からロシアに行くんです。 あと2時間で飛行機が出ちゃうんですよ」 「え?」
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