彼をシャッセ

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ローズファミリーと謳われる、バレエ界の貴公子のこんな間抜け面を見れるなんて、何てすごい。 なんてことを考えていると、スマホのアラームがなった。 「やば、もう出ないと!」 「え、待ってよマドカ! 飛行機の予約は!?」 「閉会式が始まる前に全部やりました! という訳で、また後で会いましょう!」 それだけ言い残して部屋を飛び出した。 「円ちゃん!」と拓也さんが私の名前を呼んでいたけれど、無視させてもらった。 今はどうしても、ただ会いに行かなきゃということしか考えられない。 会いたい、ドロフェイに。 今すぐ会いたい。 ああ、時間がこんなにも長く感じるなんて。 早く、早く。
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