彼をシャッセ

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モスクワに付くまでに、約まるまる1日要した。 一週間踊り続けた体には少しこたえたらしく、空港に降り立った時の私はまるで生まれたての小鹿みたいだったみたいで、何人もの見知らぬ外国人から「Are you OK?(大丈夫?)」と尋ねられた。 モスクワの人も、優しい人ばかりみたいだ。 さあドロフェイに会いに行こう、と空港を出た瞬間、私はその場で固まった。 「ドロフェイの病院、どこ・・・?」 肝心なことを拓也さんたちから聞き忘れていて、その場に立ち尽くした。 慌ててスマホを取り出して、拓也さんにかける。 どうしよう、拓也さんたち起きてるかな。 出なかったらどうしよう、私こんなに寒いモスクワの地で野宿になっちゃう。 明日の日本のワイドニュースで『日本人女性モスクワの路上で凍死』とか放送されちゃう。
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