彼をシャッセ

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「ただいま~」 「おかえり、マドカ」 玄関のドアを素早く閉めて中に入ると、鼻がじんわりと熱くなる。 私を出迎えてくれたそのふくよかな女性は、私の頬に両手を添えた。 ドロフェイと同じ、スカイブルーの瞳が心配そうに私をのぞき込む。 「まあまあ、こんなに冷たくなって」 「大丈夫だよ、ソフィアさん。 走ってたから寒くないの」 「そう?でも温かいミルクを飲みましょうね。女の子は冷やしちゃダメなのよ」 目尻にシワをよせてニコリと笑ったソフィアさんはいそいそとキッチンへと戻って言った。 そんな姿を見送って、私も家へあがった。
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