二日目

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二日目

 屋上での出来事を思い返しながら登校する。  昨日、新しい友達が出来た。  染井吉野桜さん。高校二年生で僕のクラスメイト。艶やかな黒い長髪が印象的な女の子。爪を噛むクセがある。そして、友達がいない。いや、いなかった。屋上から飛び降りるから誰かに止めて欲しい。  僕が知っている桜さんはこんなところだ。普段クラスで桜さんがどのような人だったかの印象は特にない。そして彼女と、ある取り決めをした。それは、『三日後に屋上から飛び降りようとする彼女を説得する』である。しかし、昨日も一日に数えるから明日が説得日になっている。冷静になって考えてみたらこれはすごく責任重大なことなのではないか? 失敗すれば桜さんは死ぬのか? 目に付いたからってなんだ、友達いないってなんだ、僕だって別に友達の数が多い訳ではないのだぞ。  頭を抱えたくなってきたあたりで教室に着いた。とにかく色々と話をしてみよう。戸を開け、教室を見渡す。桜さんはまだいないようだ。  クラス委員がおはようと言う。おそらく僕に言ったのだろう、あいさつを返し席に着く。さあ、いつでも来るがいい。友達がいる学校生活を共に味わおうではないか。     
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