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さて今日は真っ直ぐ家に帰ろうかと思ったその矢先、僕は腕を掴まれた。もしやと振り返ればそこには桜さんがいる。渋い顔をして、周囲の様子を伺っているようだ。
「こっちだ」
そのまま腕を引かれて近くの空き教室へと連れて行かれた。
「今日はどうしたの桜さん、探したんだよ?」
「すまない、言い忘れていた。私は今日明日学校には行かないことになっているんだ」
「なんでまた」
「秘密、だ」
人差し指を口の前で立てている。秘密なら仕方ないのか? 友達なのに。
「さて、いつまでも学校になどいられない。桂馬くん、遊びに行こう!」
自由な人なんだな、悪い人ではないのだろうが。
「どこに行こうかなー」
表情もコロコロ変わる。無邪気とう言葉が彼女にはぴったりなのかもしれない。
ふと、桜さんと目が合う。
「桂馬くん、君もどこに行くかを考えたまえ!」
ずい、と顔を寄せてくる。僕は思わず距離をとった。さすがに、顔が近いのは照れる。そして僕は何だか笑ってしまった。
--ああ、明日のことなんて今はどうでもいいや。今日は全力でこの人と楽しもう。
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