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三日目の一
運命の三日目である。今日、桜さんは学校の屋上から飛び降りる。僕はそれを説得して止めなければならない。理由は、僕たちが友達だから。
果たして僕にそんな大役が務まるのだろうか。僕と彼女は友達になってたったの三日目なのだから。さらに彼女は、今日も放課後にしか学校に来ないという。
僕の心には不安しかない。朝、登校して教室のドアを開ける。
すると、教室には桜さんが席に座っていた。
どうしたことだろうか、今日も来ないと言っていたはずなのだが。何か事情が変わってしまったというのか? 話を聞いてみることにしよう。
理由はわからない、僕は突然躊躇した。
「染井吉野……さん?」
と、声をかけた時に違和感を覚えた。彼女のどこかが違うのだ。具体的には何とも言えないのだが、雰囲気といか、纏う空気が違う。
一つ言えることは、今の桜さんならば、屋上から飛び降りるなんてことはしないだろう。
「ええと、生駒くんだったっけ? ごめんね、まだあまりちゃんと話したことがなかったから」
やはり違う。
「なにかよう?」
「いや、ごめん。なんでもないよ」
僕は自分の席につき、俯いて考えた。
考えがまとまらないうちに、眠ってしまっていた。
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