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『いやよ、そんなの!!』
カウンターの上に置いてあったスカーレットが、飛び上がりそうな勢いで叫んだ。
『私はもっともっと読まれたいわ!』
彼女の表紙を飾る色鮮やかな花束。
そこから舞い落ちる花弁だけがモノクロで描かれており、もの悲しさを漂わせていた。
読まれたいと訴えるスカーレットの声に、八雲は胸の奥がざわめき、大切な何かを思い出さなければいけないような、そんな心境に駆られる。
「スカーレット、君の気持ちはもちろん・・・・・・」
その時、視界に映っていたドアの向こうに人影が見えた。
リンと、軽やかなドアベルを鳴らし、『クスノキ堂』を訪れたのは・・・・・・ーー
『八雲、喜べ。雪乃が来たぞ?』
アンソニーの茶化した声が言う通り、泉雪乃が店内を覗くように顔を見せていた。
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