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モニターには、別のスタジオで行われている天気予報のコーナーが映し出されている。若いお天気キャスターの女性が、先日の豪雨がもたらした災害の情報を伝えている。彼女は、今夜からまた激しい雨が降りそうなので気をつけてください、とカメラに向かって訴えかけた。
五百蔵秀介は怖い顔でそのモニターを睨みつけながら、ぶつぶつと何かを呟いている。
「あの女、災害の情報を伝えるのにあんな短いスカートを履きやがって。あんな格好は、被災した方々を冒涜している」
そのとき五百蔵秀介の口元が、ニヤリと不気味に歪んだ。
「冒涜した罪には、罰を与えなきゃなあ。そうだ、もう二度とあんなスカートが履けないように両足を切断しよう。それと、あの派手なグロス、あの唇もハサミで切ってやろう……、唇って、眼球よりも美味いのかな」
モニターを眺めながらくつくつと不気味に笑う五百蔵秀介の姿を、周りのスタッフたちは訝しい目つきで見つめていた。
「あんな掲示板なんて気にしなくていい。<罪と罰ショウ>のステージに上がれば、俺はスターなんだから……」
了
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