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光る緑の皮に金の柄。その姿でルナの手首にブレスレットのように輪っかになって収まると蜥蜴のリドリーは急に大人しくなる。
「同胞の強い魔気を感じると思えば…珍しい奴がきてるな──」
「……っ!?…」
笑みを浮かべていたルナの肩が急に硬直していた。
和やかな空気を一気に変える。低い声が背後から掛けられる……
咄嗟に振り向いて両方の手首を後ろに回すルナに軽く視線をやると、グレイはレオンに目を向けた。
レオンは現れた闇の主、グレイを前に膝を着いて脱いだハットを胸に当てると頭を下げる。
「何しに来た」
無表情で上から目を向けて淡々と問う。
「城の主が生涯供にする女性(贄)を見つけられたのだからと、城の皆も狩りに出る準備を始めてしまいましたよ」
立ち上がると肩を竦め、苦笑いしながら語るレオンにグレイは少し厳しい視線を向けていた。
「で──…お前はここに何を狩りにきた…」
グレイの表情が険しくなっていく。少し重い空気がビリッと痺れ、その雰囲気をレオンは素早く察知していた。
「いやだなグレイ様。もしかして私がルナ様を狙っているとお思いでは?」
無表情の中に威圧を漂わせる。レオンはそんな闇の主に笑みを返してその場の空気を取り繕っていた。
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