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モーリスは驚いて見開いた目を数回瞬く。
「なるほど…そういうことで御座いましたか」
納得した呟きが漏れてモーリスはまたホホッと笑う。
「笑うなっ…お前の言った通りにしても結局こうだ……」
グレイはふうっとため息を吐くと、困り果てた表情を目に浮かべ辺りを見る。
ルナらしき気配は今だ感じない。ほんとに上手く存在(感情)を操るようになったものだ──
グレイは頭を抱え魔界の森に繋がる鉄の門を見つめる。
まさか外に出ては居るまい……
そんな小さな不安が降って湧いた。
怒りを見せながらもルナを気に掛ける。モーリスはそんなグレイの背中を見て更に笑みを浮かべる。
「旦那様はそろそろ加減を覚えねばなりませんな…」
「なんの加減だ」
丁寧な言葉であっても上からの発言なモーリスにグレイは少しムッとした顔を向けた。
「優しさの匙加減で御座いますよ」
「………」
「ご婦人がたのご機嫌を取るのはお手のものなのに、何故、ルナ様には上手に出来ないので御座いましょう?」
真顔を向けたモーリスからグレイはプイッと顔を背け
「俺が知りたいっ…ルナは女の中でも少し特種だ」
まるで不貞腐れたようにグレイは言い放っていた。
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