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吸血鬼、闇の魔物というよりはどちらかと言えば太陽の下が似合う天使のようだ。
そう、昔足しげく通った教会の壁に描かれた大天使ミカエル。
長い脚から折り曲げた腰を元に戻すと柔らかそうな髪をまた手でかき上げる。そんなレオンの胸元から金色に光る何かがちょろっと逃げ出した。
「ああこらっ…」
レオンは咄嗟に手を伸ばしてそれを捕まえた。
「急に飛び出したらルナ様がびっくりするだろ?」
目を見開いたルナを前にして、レオンは捕まえたそれを綺麗な指先で絡めるように遊ばせた。
レオンの指に掴まりながら、それはくるりとルナを向く。
「………」
ルナは暫し、目の合ったそれと見つめ合っていた。
“僕は地を這う物だから…”
“地を這う?”
“そ、蜥蜴とか……”
「…っ…リ…ドリー…」
ルナはぽつりと口にした。
「あ、わかったかな? さすがはルナ様」
「………」
レオンの指先をくるくると嬉しそうに回る、緑の体に金色の模様が入ったその蜥蜴はレオンの手からピョンとルナの方に跳び跳ねた。
何故だろう。不思議だ──
以前は気持ち悪いと思っていた蜥蜴。それがリドリーだと思うと何も気にならない──
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