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思わず飛んできた蜥蜴のリドリーを胸に抱くように受け止めたルナにレオンは言った。
「門の前でちょろついていたのを見つけてね、こんな姿だから結界に遮られて庭にさえも入れなかったらしい……」
レオンは憐れみを浮かべた瞳を蜥蜴のリドリーに向ける。
優しくしてくれたリドリーには結局、裏切られたような形になったけど……
血の誘惑がなければ今頃もしかしたら一緒に居たのはこのリドリーだったのかも知れない……
ルナはそう思うと何だか無下にもできず、ルナの白く小さな手の甲を這う蜥蜴のリドリーの頭を指先でそっと撫でていた。
モーリスは軽くコホッと咳払いする
「もうすっかり魔力はないようで御座います。手元に置かれても大丈夫で御座いましょう……」
「………」
「ルナ様は如何されますかな……」
モーリスの然り気無い問い掛けにルナは蜥蜴のリドリーを見つめたまま小さく口を開く。
「食べる物って何をあげたらいいのかしら……」
「………」
傍に置く気満々のルナの問いにモーリスもふっと笑った。
「ルナ様の食べ残しなら何でも喜んで食べますでしょう、きっと」
雰囲気を察知したのか蜥蜴のリドリーもルナの手首をくるくる周り、何だかとても嬉しそうだ。
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