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少しの沈黙が流れて、真は気まずそうに伏せた目を泳がせた。
どうしても、時間のことが気になる。
息苦しくなって目を覚ますと
すぐ目の前に弘の顔があったことに驚いて、
思わず弘の身体を手で押し退けてしまった。
弘は”夜這い失敗”だと言って喜んでいたが、
状況を理解するのに時間がかかった。
自分で望んだはずなのに。
背中に伝わる汗が、心地悪い。
ゆっくりと視線を上げると、
仰向けになった自分に覆いかぶさるように
弘が視線を落としてきた。
長めの前髪から覗く薄茶色の瞳が
静かに瞬きを繰り返す。
「…何」
「今日は、何をしようかなって」
真の瞳が少し揺らめいた。
「あと…30分でできそうな…こと」
「30分もあったら、なんだって出来そうだね」
弘は目を細めて、真のシャツのボタンを下から外していく。
真は上から、ボタンを外す。
「だめだめ。それは俺がやるの。楽しみがなくなっちゃうから。」
「楽しみって…」
「いつもささっと脱いじゃうんだから。たまにはね。」
そう言われて、真はボタンから手を離した。
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