そんな日があっても

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弘がボタンを一つ外すたびに、鼓動が高鳴っていく。 呼吸が浅くなるにつれ動く腹の筋肉に指を添わされると、横隔膜が揺れた。 「シャワー…」 「浴びたい?」 「来るとき…汗…かいたから」 「一緒に入る?」 「……一人が…良い」 弘は少し不満そうな顔をして、残りのボタンを全て外した。 「行っといで」   弘は枕元に置いてあったバスタオルを真に手渡した。 本当は、ベッドで使うはずだった、バスタオルだ。 真は体を起こし、スラックスのポケットにしまっていた入館症をベッドのサイドテーブルに置いて、 浴室に向かった。 「……今度」 「ん?」 浴室のドアの前で、真がこちらに振り返った。 「……一緒に…入るのは。…………今日は…一人が良い」 言い終える前に、浴室の扉を閉めた。 弘はしばしベッドの上で固まった後、 ゆっくりとうつ伏せに倒れ込んだ。 浴室から、シャワーの音が聞こえて来る。 「…ずるいね、まこは。」 小声で笑いながらベッドサイドに置いてあった真の入館症を手に取り、 再び自分のシャツの胸ポケットに忍ばせた。
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