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「まこ。まーこ。もう少し、頑張って。」
頷いてはいるが、目は開いていない。
身体を重ねてすぐに、真は眠りに落ちてしまった。
ちょうど、”夜の時間”が終わりの時間を告げる頃だった。
体力を使い果たしたようで、
浴室に連れて行こうとしても、
びくともしない。
弘は次の予約が入っていた。
本来ならここで”客”に対して挨拶をして
部屋を出るところだが、
真の様子を見る限り、それは叶いそうもない。
無防備に横たわる真の首筋は、汗で湿っていた。
浅く呼吸しながら寝息を立てるその姿は
先ほどの情事を思い起こさせる。
弘はバスタオルとブランケットを真に掛け、
浴室に向かった。
浴室から出ても、
真は目を覚ますことはなかった。
弘は身支度を済ませ、ベッドの淵に腰掛ける。
「…これじゃあちゃんと”またね”って、言えないじゃない」
弘は微笑みながら真の目尻を
人差し指の背で優しく撫でた。
真は少しだけ、固く目を瞑った。
「お風呂入れといたから。後でちゃんと、入ってね」
耳元でそう囁いて、
弘は部屋を後にした。
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