記念日

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弘は手のひらで温めた液体を使って、 首の後ろから真の背中をほぐし始めた。 指が肌を滑るような感覚は、先ほどのものとは違う。 背骨を伝って圧をかけられるたびに、 強張っていた身体が緩み始める。 「…すごい…」 「すごい?」 「…気持ち良い」 「…よかった。」 肩甲骨周りを手のひらで押し開くように、 体の外側を揉みほぐしていく。 液体に覆われた背中は、 筋肉の波に合わせて妖しく照らし出されている。 身体の力が徐々に抜け、 少し意識を枕に沈めようとしたが叶わなかった。 「…弘」 「何?」 「…」 「痛い?」 「…痛くない」 気がつくと、 弘の手はいつの間にか真の腰まで下りてきていた。 腰の窪みを優しく撫でられると、 太ももに電流が走ったような刺激を受ける。 どうしても、気になってしまう。 上半身を動かそうとするも、 真の上に跨る弘に腰を固定されて、動けない。 「…弘」 「…何?」 「…乗っかられてると……気になる。」 「…生理現象だから」 弘はふふと笑いながら、 ゆっくりと真のバスローブを剥がしていった。 腰のリボンを引き下げられいよいよ骨盤が露わになると、 真は慌てて身体を捻り、起き上がろうとした。 「ひ、ろし…」 「下も。凝ってるでしょ?」 「もう、もう良い」 「ええ。せっかくなのに」 引き下げられたバスローブを必死に手繰り寄せて 袖を通そうとすると、弘に腕を掴まれた。 液体で濡れた弘の手は生温かく、少し柔らかい。 腕をそっとほどくと今度は足首を掴まれた。 自分の方に引き寄せようとする弘に、抵抗する。
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