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触れられる所が熱い。
徐々に溜まっていく熱に掻き立てられるように浅く息をして、
触れてくる弘の腕に手を添えた。
「何か、して欲しいことはある?」
「して…ほしいこと…」
「もっとこうしてほしいとか…何でもするよ。」
前にも聞いたような言葉。
弘の”何でも”は、本当に”何でも”だから、恐ろしい。
何を望めば良いのか、何を欲すれば良いのか。
分からない自分がここにいて良いのだろうか。
夢を見る為に夢見荘を利用する客と自分とでは、
明らかに目的が違っている。
快楽を、得たいわけじゃない。
じゃあ、何のために?
弘に会いに来ているということにしていても、
本当の目的は何なのか。
答えの出せない自分が情けなくなる。
「…分からない…ごめん」
「謝らなくても良いのに。」
触れられた腰元の手を滑らせると、
弘の腕を掴む真の手に力が入る。
固く引き結んだ唇に舌を這わせると、
少しずつ口を開いて、弘の舌を迎え入れた。
粘膜の絡み合う音と感触に、腰がびりびりと反応する。
垂れ下がった”猫目”は与えられた刺激に翻弄されるように
涙を零す。
弘は真の目尻に唇を当てると、触れた真の腰元の先端を
軽く指で弾いた。
真の腰が大きく揺れた。
「ひ…ろし…っ…」
「まこは本当、無欲だね」
「…っ……」
「でもね…」
次々と襲い来る刺激に膝が震え、真は弘の背中を固く挟み込んだ。
全身がびくびくと震え、思わず弘の背中にしがみ付いてしまう。
弘は真の背中を優しく撫でると、ゆっくりとベッドに下ろし
また口を塞いだ。
休む間もなく唇の自由を奪われ、必死に鼻で息をする。
ようやく口元が解放されると、真の顔はすっかり上気し、
額から汗を吹き出させていた。
桃色に染まった真の頬に何度も唇を落とし、
弘は小さく囁いた。
「無欲そうな人ほど…本当は凄く、欲深かったりするんだよ」
真が視線を落とすと、露わになった弘の腰元が目に映った。
真が微かに開いた瞳を潤ませたのを、弘は見逃さなかった。
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