記念日-次の週-

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バスルームの扉を開けると、ソファに腰掛ける弘と目が合った。 弘はゆっくり立ち上がると、真の方に向かってくる。 今度は弘が仁王立ちになって バスルームのドアの前に立ちはだかった。 シャツのボタンは全て外され、 鍛え上げられた白い肌が露わになる。 身体から湯気を漂わせる真を、見下ろすような視線。 真は視線を逸らして、少しだけ、後ずさりをした。 「…な…に…」 「何でも」 その突き刺さるような視線の、なんと重々しいことか。 折角シャワーを浴びたにも関わらず、 首の後ろを、ぬるい汗が伝う。 「おいで」 弘の後について、ベッドに向かった。 弘がベッドの縁に座ったところから少し距離を置いて腰掛ける。 するとすぐに、距離を詰めて座り直してきた。 ベッドは大きく弾み、体勢を崩しかけたところで 身体を寄せられる。 晒された弘の滑らかな白肌が、手に触れた。 驚いて手を引っ込めると、その手を掴まれ、強引に弘の胸元に 沿わされる。 「キス。して。」 「う…」 「早く」 弘に促されるまま、弘の唇に自分の唇を押し当てた。 弘の唇はケアされているのかいつも不思議と滑らかで、少し冷たい。 その弾力を少し味わって、震える唇を離した。 どうしても、弘の目を見ることが出来ない。 「触って」 「う…」 「早く」 掴まれた手の指をゆっくりと伸ばし、弘の胸元に触れる。 シトラスの香りに包まれた弘の身体は、彫刻のように整っている。 筋肉に一つ一つ指を滑らせていくと、時折腹がぴくりと揺れ動く。 「そこじゃない」 「う…」 「さっきから”う”、しか言ってないよ」 「う…う…」 弘は盛大に吹き出した。 掴んでいた真の手首を離すとベッドに寝転がり、背中を向けた。 縮こまるように身体を丸め、背中を震わせている。 「笑うなよ…」 真は震える背中に向かって、溜息交じりに呟いた。 ひとしきり身体を震わせた後、弘は真の方へ振り返った。
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