一、二回目のプロポーズは、強制でした。

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一人でいい。 女は小説の中で結構だ。 「じゃあ、俺でいいですよね」 「女が駄目だから男で妥協するわけは。それにもう俺は30歳だし」 「和葉さん。俺は貴方をここに無理やり閉じ込めたいわけじゃない。座敷牢はありますし、無理やり閉じ込めることも可能ですが、それは俺の望んだやりかたではない」 座敷牢、と聞いてちょっとときめく。 あとで小説の資料に見せてもらいたい。 「俺は、ここの家に入る時に、和葉さんと結婚しパートナーとして門をくぐりたい」 「ほー」 「女性がダメ、引きこもり、結婚願望はない、一人だとご飯に肉を焼いて食べておけばいいみたいなだらしない栄養管理」 酷い言い方だが、ぐうの音もでないぐらい本当だ。 「だったら俺と結婚して。全て貴方の望むモノ、あげます。叶えてあげます」 「えー……」 「それでいつか、『俺と結婚して良かった』と思えたら、俺はそれでいいんです。はい! あっくんが、俺に手渡して来たものは、俺の名字の印鑑だった。
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