七、初夜

16/20
前へ
/263ページ
次へ
口の中、苦いぞという意味を込めて言ったんだけど、あっくんは全く躊躇なく舌まで入れてきた。 「……嫌じゃないの。自分の舐めた口だぞ」 「奉仕してくれた和葉さんの口が嫌なわけないです。というか申し訳ないから苦みを取ろうかと」 「ぶれないな」 思わず笑ったけど、そのまま押し倒されてキスしながら二、三度転がって、気づけば浴衣が全てはだけてしまった。 「冷たいですが、嫌なら手を――」 「縛る?」  クスクス笑う俺に、あっくんが困った顔をしていた。  手の平でローションを人肌まで温めるなんて、どこで得た知識なんだ。 悔しくて足でえいっと弄ると、「痛いですって」と真面目な返答があった。 「縛らないけど、――離してはあげられませんからね」 濡れた手で、なぞる。何度もなぞり、濡らして、つぷんと入ってきた指に体が震える。 ああ。俺を見下ろす君が、艶めかしくてかわいくて格好良くて、指一本でイってしまいそうだ。 「中、すごい熱い、ですっ」 熱い息が体にかかる。覆いかぶさるあっくんの髪が、肌の上に滑る。 お互いの熱で沸き上がった汗が、涙のように落ちてくる。 薄く足を開いて、動く指を受け入れながらも恥ずかしさと幸せがせめぎ合う。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3424人が本棚に入れています
本棚に追加