七、初夜

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誰かと繋がるなんて、高校時代の俺からみたら信じられない。 汗は吹き出すし、身体を伝うし、声は漏れるし快感で全身がぴりぴり痺れる。 しかも受け入れる場所じゃない部分。そこをほぐして慣らして広げて、痛みに耐えてでも相手と一つになりたい。 俺に書いてきたエロ小説は快感だけを求めて書いた娯楽小説。 今、俺が指を絡めてシーツの海で足を滑らせて、受け入れたいと思うのは、相手が愛おしいから。 好きだけじゃ足りなくて、触れるだけでは見えなくて。 繋がって、体温で知る。声で知る。濡れた音で知る。 ああ、この人が愛しいと。 襞を広げて入ってきた熱を、受け入れるには悲鳴が出そうだった。痛い、けど俺の中に、あっくんがいる。繋がってる。一人じゃない。 そう思ったら涙が溢れた。俺を、10年間も忘れていなかった人。 ぐっとあっくんの腰が動いて、奥を穿つ熱に漏れる声は我慢できなくなっていた。
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