七、初夜

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「……ぁっ」 最初に漏れたのは、声。小さな声だった。 「痛い?」 頬を触りながら労わるあっくんに、静かに首を横に振る。 「もっと」 腰に足を巻き付けて、ねだった。 本当は動くたびに内臓がせりあがり、引っ張られ、押し広げられ苦しかった。 それでも俺の中で必死に動くあっくんが好きだから。 「んっ」 声を我慢しないと、痛みが和らぐのに気づいたら声が止まらなかった。 胸を触られ、前を弄られ、身体の力を抜きながら受け入れて。 「ひゃぁっ」  奥にこりっと当たった瞬間、背中がしなり、足の指が蠢きだす。 シーツに線を描きながら、そこを擦られるたびに痛みだけじゃない快感が全身を駆け巡った。 「あっ、く、んっ あっくん」 「分かりました。ココ、ですね」 愛撫していた手を離し、がっつりと腰を掴むと、そこにあたるよう腰を打ち付けていく。 「ひゃ、んっ あっ……ああんっ」 声が恥ずかしくてじわりと涙が広がった。 だめだ。恥ずかしすぎて死ぬ。 「あっく、キス」 声を聞かせたくない一心でねだる。 「あっくん、キスして」
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