一、二回目のプロポーズは、強制でした。

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「失礼します」 ぐっと力を込めて、抱えられた。 12歳も年下の旦那(?)に俺は意図も簡単に抱き抱えれらている。 「おっと」 一瞬よろめいたあっくんに、小さく『大丈夫か?』と聞くと、蕩けんばかりの笑顔を向けられた。 「大丈夫です。というか、繊細で壊れてしまいそうな和葉さんの重みを感じらて幸せなんです」 そのまま、顔が近づいてきて頬に唇をおしつけられた。 そこから、あっくんの熱が全身に伝わってきて、落ちつかない。 たった数歩だが、玄関の鍵をあけ器用に俺をお姫様のように抱き抱えたまま、入っていく。 玄関は、やはり文句なしで広かった。 入った瞬間、桜が散る中を今にも飛び出さんと描かれた虎の衝立が置かれていて驚く。 「これから、一生一緒です。よろしくお願い致します」 下ろして貰えないので、俺はお姫様だっこされたまま頷く。 「――じゃあ、結婚した記念に唇を重ねることを許して下さいね」 「え、――んっ」 有無も言わさずに降りてきた唇。 まるで視界に桜が飛び交うような、怒涛の展開の中、その唇の感触だけが俺にリアルに伝わってきたんだった。
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