一、二回目のプロポーズは、強制でした。

6/23

3411人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
当時、黒や赤のランドセルが主流だったのに、一人だけイタリアの有名デザイナーに作ってもらった紫に青色の糸のランドセルだったあのチビか。 たしか海運王と言われ、貿易やら輸入やら豪華客船やらで金儲けしまくりの、竜宮家の御子息だ。 俺もこいつに話しかけられたら、無視したら駄目だと親から言われてたなあ。 「大きくなったな。えっとあっくんだっけ」 あっくんだと呼んだこともないけど。 「和葉さんには、チビとしか呼ばれたことなかったんですが、感激です!」 目を輝かせるその姿は、大きくなって警察というエロストイックな服を着ていても変わらない。 けど、……まあ、待て。 「男同士で結婚はできない」 法律が変わったらと言ったじゃねえか。 「だから、プロポーズしに来たんですけど」 にこにこと笑顔で薔薇の花束を差し出され、露骨に嫌な顔をしてしまった。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3411人が本棚に入れています
本棚に追加