一、二回目のプロポーズは、強制でした。

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「やー、色々おかしいだろ。なんで俺の意思関係なく両親のサインまであるの?」 「ご両親は、俺が結婚しますって挨拶に言ったら、涙を流して喜んでくれましたよ」 なんで俺抜きで挨拶してくれてんだ。 「まずは新居ですが、この犬小屋みたいなマンションは早く引っ越して、用意してある屋敷に移りましょう。そこで簡単に結婚式でもして、それから初夜!」 しょや? てか俺の家を犬小屋? 「あーっと、あっくんは今年で何歳?」 「18です!」 わっか。 俺の半分ぐらいの年齢だ。 「18歳って、今からだろ。もっと社会に出たら、可愛い女の子とかエッチなお姉さんとか、あっくんなら相手に困らないだろ。俺みたいな30歳に――」 「いいえ。俺は和葉さんがいいです」 あっくんは即答すると、胸ポケットから高級そうな万年筆を取り出す。 「俺、10年待ったんで、もう待ちません」 「だから――」 「それに女性との結婚願望もない、ペンネームが『破廉恥 ブーメランパンツ』で、貯金もない、収入も不安定、人間が嫌い。そんな貴方と結婚したいなんて、もう俺しかありえませんよ」
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