儀式

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「鍋しようと思うんだけど来ない?」 という誘い文句は、 『誰かを鍋にして食べようと思うけど、食材になってもらえる?』 という意味だったんだけど、来てくれたということは、食材になってくれることに同意してくれたということだよね? たまに死にたいって言っていたし、喜んでくれるよね? ―――――――――――――――― 【今回の献立】 食材:阿部さん メニュー ・ 眼球と視神経のポシェ酢醤油がけ ―――――――――――――――― さて、ようやく準備ができた。 阿部さんはお風呂で待機してもらって、目を食べよう。 皿に茹でた眼球と視神経。 それに酢醤油をかける。 私は眼球をフォークで刺して口に運んだ。 「うまい!」 表面は弾力があって中身はジューシー。 まるで美味しい生牡蠣を食べているよう。 視神経は濃厚だけど柔らかい味。 まるで雲丹。 高級寿司屋で出てきてもおかしくない逸品。 だから好きなんだよね。 私は、眼球と視神経が美味しかったという感動の余韻に浸りながら、食材のことを考えていた。
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