告白

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そして、私がソレを始めたきっかけは小学3年生の春休みに起こりました。 チエちゃんの家に遊びに行こうとする私を捕まえて、母がありふれた模様のラッピング用紙に包装されたプレゼントを二つ、私に手渡して言いました。 「いつもチエちゃんのお家にはお世話になっているから、これはチエちゃんの。こっちのはあんたのよ」 なんだか、誇らしいような、恥ずかしいような気持ちで私はプレゼントを抱えてチエちゃんの家に駆けました。 「これ、お母さんがチエちゃんにだって!」 「へー…」 包装紙を破くチエちゃんの顔を見ながらワクワクしました。 ありがとう。 嬉しい。 そう、絶対に言うはずでしたから。 「ふーん、つまんない物だね」 愕然としました。 悲しいんだか、腹立たしいんだかで、けれど言葉にならなくて。 私の家庭には父親がいません。 多額の借金と、母に対する暴力の恐怖心だけを残して、私が小学校に入学する際に離婚して出て行ったんです。 幼いながら、母が一生懸命私のために働いていたのを知っていました。 そんな母が、チエちゃんにと選んだ、ノート、ペンシル、シールなどの可愛らしい文房具のセット。
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