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11月。学内の木々の葉はすっかり落ちてしまって、冬の気配のする頃になってきた。私たち五人はいつものように学生ラウンジで、次の講義までの時間を潰していた。悠斗が勢いよくコーラを煽る。あ、またそんなに傾けたら――。
「あ、やべ」
案の定、悠斗はコーラを口の端からこぼした。
「やると思った」
私は呆れて悠斗にハンカチを手渡し、ティッシュを出してテーブルも拭く。片付け終わって顔を上げると、三人が何とも言えない表情で私たちを見ていた。首を傾げれば、政宗くんが呟く。
「なんかもう、熟年夫婦みたいになってんだけど、お前ら」
「え?」
「何も言わなくても分かってるみたいなのが、彼氏彼女通り越して、夫婦になってる」
蓮の説明に、千花もうんうんと頷く。私と悠斗は顔を見合わせて、目を瞬かせた。
「分かってるっていうか、悠斗ワンパターンだし」
「あ。ひでぇ」
「それでもやっぱり、莉紗と悠斗くんだからだよ」
千花が朗らかに笑う。
「お互いのこと、よく分かってると思う」
その言葉に、なんだか恥ずかしくなってうつむいた。恥ずかしいけど、千花にそう言われると嬉しい。
悠斗と付き合い始めて、およそ6ヶ月。喧嘩もしょっちゅうするけれど、それなりに彼氏と彼女を上手くやれているような気がする。現に私の知る限り、悠斗と6ヶ月以上付き合った女の子はいない。それは、私自身の自慢でもあった。
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