1.『捨てたい感情』~近藤悠斗の場合~

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「嫌だ。興味ない」 政宗がばっさり切り捨てるから、俺は泣いてお願いする。 「政宗ー。何とかそこを頼むよー」 「嫌だ。そもそもそんなもん、引き受けるな。きっちり断ってこい」 「ううー……」 俺は蓮に視線を送る。 「蓮ー。お前は俺の味方だよなー?」 「俺もパス」 「え!?」 俺は目を丸くした。 「嘘!?蓮は断らないと思ってた」 「そういうぐいぐい来る子、タイプじゃないから」 蓮は当たり前のように言う。……ヤバい。完全にアウェーだ。俺はテーブルに手をついて頭を下げた。 「一回だけでいいから!お願いします!」 俺の態度に、政宗は首を捻る。 「なんで、そんなに必死なんだよ?」 「宮女とのコンパをセッティングしてもらってるから!」 「宮園女子大か」 「お嬢様学校だねー」 政宗と蓮が頷く。 「だから!会ってもらわないと困るんだって!」 「俺は困らない」 「俺も」 またばっさり切り捨てられた。俺は力なく項垂れる。 「なあー。協力してくれよー。友だちだろー?」 「面倒事を持ってくる奴は、友だちとは言わん」 政宗が面倒くさそうに言う。蓮も政宗に便乗した。 「そうそう。それに悠斗、彼女できても長続きしないじゃん。コンパしたって意味ないよ」
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