1、タイムマシン・ショック

1/6
前へ
/164ページ
次へ

1、タイムマシン・ショック

 歴史に「もしも」が禁句だと言われたのはひと昔まえのことだった。十年をひと昔とするならば、はやふた昔になろうとしている。  十八年前、インドの物理学者ダルメンドラ・クマール・ヤダプ博士によって時間航行の理論が提言された。その理論に基づいて人類はまたたくまに時間航行機、すなわちタイムマシンを作り上げてしまった。理論上は未来へも過去へも自由に航行できるはずだったのだが、実際にタイムマシンを起動してみると未来への航行は不可能だった。過去に対しても限界があった。三千年前を越えたくらいからコントロールが非常に不安定なることが分かった。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加