1、タイムマシン・ショック

2/6
125人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
 それでも世界はタイムマシン・ショックに沸いた。宇宙開発が各国の資金不足のため停滞していた時期でもあり、人類は新しいフロンティアを歴史の中に求めた。なにしろ宇宙旅行に比べて圧倒的にコストがかからなかったのだ。タイムマシンの製造にはスペースシャトル一機分くらいの費用がかかるのだが、ランニングコストが極めて安いのだ。  先進国は次々にタイムマシン保有国となった。各国の指導者たちはタイムトラベラーたちを各時代に送り込んだ。偉大な自国の歴史を証明するためにだ。偉大でない歴史や、都合の悪い歴史は無視されるか隠蔽された。タイムトトラベラーたちは軍人か軍の関係者の中から選ばれた。未知の世界への旅であり危険が伴うからという理由だったが、秘密保持にはいちばん相応しい職業の方々だったからであろう。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!